綺麗な地獄に堕ちたい。

あと何回夏を迎えることが出来るのだろう。
先が見えないから面白いんだろ、なんて考え方は臆病な僕には出来ません。



06年8月7日 (Mon)


V.A. / Panic in Detroit(1992 Belgium)



テクノ(やハウス)っていうのは不思議なもので、12"主体のクラブカルチャーにてサイクルが激しい世界であり、その上需要と供給で言えば、アンダーグラウンドな世界にあり、決して多くの枚数がプレスされることもなく、むしろ供給面でDJ 諸氏を困らせたり、さらにはすぐさま風化してしまったかと思えば、例えば同じミニマルテクノでも天と地(天国か地獄)に、と、両極端なまでに長い間愛される楽曲と、ツール、もしくはツール以下の無駄に資源を消費したかのような凡庸な楽曲とにはっきりと分かれる。何かが違う。何が違う?作り手の感性?技術?音の配置?それとも、やはりマシーナリーでエレクトロニクスなものでも人の情緒に訴えかける何か(「ソウル」は結構テクノを語るときに使われるみたいだけど・・・)があるかないか?テクノは常に最前線でなければならない宿命があるようで、でも昔の楽曲で今現在においても古臭くない、もしくは古臭くてもいつまでも輝き、聴くに耐えうる、踊るに耐えうる作品も確実にある。テクノの祖は、一部の妄信者にて、宗教のように崇拝され、ヒストリーを紐解いてはまた最新の音に食らいつく。単純な構成のようで、作り手、そして作り手から一人歩きし、みなに愛される楽曲とそうでない楽曲の違いが生じるのは、ロックやポップスのそれとはまったく違うのだろうけれど、少なくとも言えるのは、「常に革新を必要とするテクノ〜クラブカルチャーにおいても、懐古主義とは別に、オールタイムベスト、もしくはアンセムと呼ばれ、まわし続けられる盤は確実にある」ということ。それを証明する何枚かのうちの一枚がこれ。ベルギーのレーベル、BUZZから、92年に発表された当時〜それ以前の楽曲で構成された、デトロイトテクノの、長らく名盤として語り続けられたコンピレーション盤である。14年前、楽曲に関してはさらにそれ以前のものがあるのだろうけれど、確かに古い。それでも、どう聴いても聴くに耐えられないなんてことが皆無と言っていいほど、このコンピレーションは優れている。先に書いたテクノ(デトロイトテクノ、と書いたほうが適切か)の祖、Juan Atkinsの楽曲も収録したこの作品で、いかに電子音楽の古典(もしくはクラシック)や、全てのクラブミュージックが、決して消費文化としてだけではないということを物語っている。
*新中古(未開封っていったら早いか)で買ったのに、デッドストックだったのか、盤面にノイズを発するだけだけど凹凸があったり、トレースしてもマスターが悪いせいか、盤面のせいか、音のボリュームがかなり絞られてしまっているのが残念。特に、このDun Cartinがこの作品に提供した楽曲が良すぎて・・・。12"の方はレンジもボリュームも申し分なし。
*右は左のLPからの12"カット。